2022.12.15
不動産売却の流れを解説|やるべきことと売却時の注意点も紹介!
不動産売却は頻繁に行うものではないため、流れがわからないという方もいらっしゃるでしょう。
不動産売却は大きなお金が動くので、正しい手順で進めないと損をしてしまうおそれがあります。
本記事では、不動産売却の手順や必要な書類について、詳しく解説します。
また、不動産売却の手続きに関する注意点も紹介しますので、不動産の売却を検討している方は、参考にしてください。
目次
不動産売却の流れを9つのステップで解説
不動産売却をする際は、不動産会社を介して行います。
しかし、すべての手続きを不動産会社に任せっきりにはできません。
まずは、不動産売却の全体の流れを把握するところからはじめましょう。
STEP1:売却相場を調査
不動産の価格は、さまざまな条件によって変動します。
そのため、まずは不動産の売却価格相場を自分で調べて把握することが重要です。
不動産の売却価格を調べる方法には、以下のようなものがあります。
- 土地総合情報システム(国土交通省)
- レインズ
- 不動産会社の店舗にある物件情報
- 不動産売却に関する情報が掲載されている不動産サイト
上記を利用して把握できるのは、おおまかな売却価格の相場です。
実際の売却価格とは異なるため、確実に相場価格で不動産を売却できるとは限りません。
しかし、売却価格の相場を把握しておけば、不動産会社から提示された売却価格が適正かどうかの判断基準にできます。
不動産の相場を自分で詳しく調べたい方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
STEP2:不動産会社に売却価格の査定を依頼
不動産がどれくらいの価格で売却できるのかを知るため、不動産会社へ査定を依頼しましょう。
不動産会社による査定なら、自分で調べた売却価格の相場よりも高い精度で売却価格を算出できます。
ただし、不動産会社への査定依頼は、売却価格を知ることだけが目的ではありません。
最終的に不動産売却の仲介を依頼する不動産会社を選ぶためでもあります。
不動産会社選びによって不動産売却がスムーズに進むかどうかが決まるので、不動産会社との査定のやり取りは非常に重要です。
査定方法は机上査定と訪問査定の2種類
不動産売却における査定方法は、2種類あります。
1つは机上査定といって、不動産に関する情報をもとに、簡易的に売却価格を査定する方法です。
机上査定は訪問調査を実施しない簡易的なものなので、査定価格の算出精度はやや低くなりますが、スピーディーに結果が出るメリットがあります。
一方の訪問査定は、実際に不動産を訪問して査定価格を算出する方法です。
訪問のスケジュール調整や細かなチェックが入るため、机上査定に比べて結果が出るまでに時間がかかります。ただし、机上査定よりも精度の高い売却価格を把握できるメリットがあります。
複数の不動産会社へ査定依頼するのがおすすめ
不動産会社へ査定を依頼する際は、複数の不動産会社へ依頼するのがおすすめです。
1社だけに依頼すると、相場より安い価格で売却してしまうリスクがあります。
複数の不動産会社へ査定を依頼すれば査定価格の比較ができるので、相場より安く売却してしまうリスクの軽減が可能です。
また、なかには契約を獲得することを目的として、相場よりも高い査定価格を提示する「高預かり」が行われるケースもあります。
相場よりも高い売却価格で売り出してしまうとなかなか買い手が付かず、大きく売却価格を下げる結果となり売却計画にも狂いが生じてしまいかねません。
このような手法に引っかからないためにも、不動産売却の査定は複数の不動産会社へ依頼しましょう。
ローンが残っている場合は返済計画も立てる
住宅ローンが残っていても、不動産は売却できます。ただし、売却の際にローンの完済が必要です。
ローンを完済できないまま、不動産を売却することはできません。
不動産を売却した代金をすべてローンの返済に充てることで完済できるのか、あらかじめ計算しておきましょう。
万が一売却代金のみで住宅ローンを完済できなくても、預貯金などと合わせて完済できれば問題なく売却できます。
住宅ローンの残高と不動産の売却価格、そして預貯金などを含めて返済計画を立てておきましょう。
不動産査定などの注意点を詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産査定の注意点を解説|事前の準備や確認しておきたいことも紹介
STEP3:不動産会社を決めて媒介契約を締結
査定依頼に対する不動産会社や担当者の対応、査定価格などから総合的に判断して、媒介契約を結ぶ不動産会社を決めます。
不動産会社の選定基準は、査定額だけでなくレスポンスの早さや担当者との相性、信頼できるかどうかといった点も考慮しましょう。
最終的に仲介を依頼したい不動産会社が決まったら、正式に媒介契約したい旨を伝えて、契約を締結します。
媒介契約の種類と特徴
不動産売却の際に締結する媒介契約は、3種類あります。
契約形態 | 同時に契約できる不動産会社 | 自己発見取引 |
---|---|---|
一般媒介契約 | 複数可能 | 可能 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 可能 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 不可 |
一般媒介契約は同時に複数の不動産会社と契約できる、買主を自分で見つける自己発見取引ができるなど、比較的自由度の高い契約形態です。
しかしその反面、不動産会社の営業に対する積極性が低くなる傾向があります。
そのため、不動産会社に積極的に動いてもらって売却を進めたい場合は、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶのがおすすめです。
専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した場合、複数の不動産会社と契約できないため、契約した不動産会社が積極的に営業に取り組んでもらえる傾向があります。
STEP4:不動産の売出し価格を決定
不動産会社と媒介契約を締結したら、次は不動産の売出し価格を決めます。
売出し価格は、売主自身の希望価格だけでなく、査定価格も参考にしながら不動産会社と相談して決めましょう。
相場よりも高い売出し価格にすると、売却できるまでの期間が長期化するおそれもあるため、早く売りたい場合は相場以下の売出し価格にするのがよいでしょう。
STEP5:不動産会社が売却活動を開始
媒介契約の締結と売出し価格が決定したら、不動産会社の売却活動がはじまります。
不動産売却における売却活動は不動産会社が進めるため、売主が行動する必要はありません。
不動産会社は、新聞の折り込みチラシやインターネットサイトへの掲載、既存顧客への斡旋といった売却活動を行います。
ただし、一般媒介契約や一般媒介契約であれば自己発見取引が可能なため、売主が自ら買主を探しても問題ありません。
STEP6:内覧と交渉の実施
不動産の購入希望者が現れたら、物件の内覧を行います。
内覧は購入するかどうかを決める重要なポイントです。
購入希望者によい印象を与えられるように、あらかじめ掃除や整理整頓をしておきましょう。
費用はかかりますが、ハウスクリーニングなどを利用する方法もあります。
また、購入希望者が物件の購入に前向きな場合は、条件交渉に移ります。
条件交渉は不動産会社を仲介して行われるため、売主と購入希望者が直接やり取りすることはありません。
ただし、不動産売却では値下げ交渉されるケースが多いので、どこまで値下げできるかは事前に決めておくのがおすすめです。
STEP7:買主と売買契約を締結
内覧や条件交渉を経て買主が決まったら、売買契約の締結です。
売買契約書の作成から締結までの流れは、以下のようになります。
- 不動産会社が売買契約書を作成
- 不動産会社で重要事項の説明
- 売買契約書の確認
- 売買契約書へ署名・捺印
- 買主から売主へ手付金の支払い
- 売主から不動産会社へ仲介手数料の支払い
売買契約書の作成は不動産会社が行うので、売主と買主はそれぞれ契約内容を確認して、問題なければ署名・捺印して契約となります。
売買契約締結の際に買主から売主に支払われる手付金は、不動産購入代金の1~2割程度が一般的です。
また、この時点で売買契約が成立したため、売主は不動産会社へ仲介手数料の一部を納めます。
STEP8:売却価格の決済と引き渡し
買主から売主へ売却価格の残りが支払われるのと同時に、不動産の所有権の移転登記手続きを行って、不動産を引き渡します。
売主はスムーズに引き渡しできるよう、必要書類を期日までに揃えておきましょう。
STEP9:売却後は確定申告を忘れずに行う
不動産を売却して得た利益は譲渡所得になるため、確定申告を行います。
譲渡所得の金額は、以下の計算式で算出可能です。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用) |
もし譲渡所得の金額がゼロ、またはマイナスとなった場合は、不動産売却によって利益が発生していないため、確定申告は不要となります。
譲渡所得がプラスとなった場合のみ、確定申告して税金を納めましょう。
不動産売却の流れを理解したら次に起こすべき3つの行動
不動産売却の流れを理解できたら、売却の準備として次の3つの行動を進めましょう。
必要な費用や税金の確認
不動産売却にかかる費用や税金を確認しておきましょう。
不動産を売却する際は、多くの費用や税金が発生します。
以下は、不動産売却で発生する主な費用と税金です。
主な費用 | 税金 |
---|---|
・不動産会社への仲介手数料 ・抵当権抹消費用 ・引越費用 ・書類の取得費用 | ・印紙税 ・譲渡所得税 ・住民税 ・復興特別所得税 ・登録免許税 |
状況によってはこれ以外にも費用が発生する可能性があるため、事前にどれくらい費用がかかるか算出しておきましょう。
また、譲渡所得が出た場合は納税も必要になるので、税金の計算も忘れず行ってください。
適切な「売り時」を見極める
不動産売却のタイミングを決める要因は、相場やローンの返済状況、ライフルタイルの変化などさまざまです。
タイミング次第で売却価格に大きな差が出ることも考えられるため、今すぐ売却するつもりがなくても、「売るとしたらいつなのか」を考えておきましょう。
簡易査定を利用してみる
すぐに不動産を売却するつもりがなくても、おおまかな査定価格を知る方法はあります。
インターネットから申込みできる簡易査定は、無料で不動産の査定が可能なサービスです。
訪問査定ほどの精度ではありませんが、売却価格の目安を知るために利用してみるのもよいでしょう。
不動産売却の手続きに必要な書類について
不動産売却をする際は、多くの書類が必要です。
まずは不動産売却の手続きに必要な書類から見てみましょう。
不動産売却の手続きに必要な書類 |
---|
・権利証 ・固定資産税納税通知書または固定資産税評価証明書 ・マンションの管理規約や説明書 ・建築確認済証や検査済証 ・土地測量図と境界確認書 ・設備の仕様書 ・売買契約書 ・銀行通帳 |
売却する不動産がマンションなのか戸建てなのかによっても、必要な書類は異なります。
また、上記以外にも必要な書類が出てくるケースがあるため、不動産会社へ確認しながら書類集めを進めましょう。
次に、不動産を買主に引き渡す際に必要な書類の一覧です。
不動産を買主に引き渡す際に必要な書類 |
---|
・本人確認書類 ・実印と印鑑証明書 ・住民票 ・ローン返済予定表またはローン残高証明書 |
売却した不動産を買主へ引き渡す際は、写真付きの本人確認書類や実印、印鑑証明書などが必要となります。
また、住宅ローンが残っている不動産は、売却時にローンを完済できれば売却が可能です。
住宅ローンを組んでいる金融機関へ依頼して、返済予定表や残高証明書を発行しておきましょう。
不動産売却に必要な書類を詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産売却の手続きに関する3つの注意点
不動産売却をするタイミングは、人それぞれ異なります。次に紹介する内容に当てはまる方は、注意点があるので確認しておきましょう。
相続した土地の売却には相続登記が必要
亡くなった方から相続した土地を売却する場合、事前に相続登記が必要です。
相続登記とは、土地の名義を亡くなった方から変更する手続きで、相続登記が済んでいないと買主への所有権の移転登記手続きもできません。
土地を相続した際は、必ず相続登記をしておきましょう。
離婚で家を売る最適なタイミング
離婚をきっかけに家を売却するケースは少なくありません。
離婚して家を売却する場合は、離婚成立後に売却するのがおすすめです。
離婚が成立していない状況では、離婚の話し合いや手続きなどがあるため、売却に関する手続きに専念しにくいからです。
また、不動産売却は最低でも数ヶ月以上の時間がかかるので、離婚前に不動産売却を行うのは得策ではありません。
まずは離婚を成立させてから、余裕を持って不動産売却に専念しましょう。
成年後見人による不動産売却
成年後見人が不動産所有者の代わりに売却を行う場合は、売却する不動産が居住用か非居住用かで手続きが変わります。
また、成年後見人は被後見人の財産を管理する役割を持っていますが、成年後見人のみの判断で不動産売却はできません。
売却する不動産が居住用物件であれば、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所は、不動産の売却が必要なのか、被後見人の意思や売却代金が被後見人のために使用されるのかなど、さまざまな状況から総合的に判断を下します。
一方、非居住用物件の売却であれば家庭裁判所の許可は不要ですが、成年後見人のみの判断で売却はできません。
居住用物件の売却と同様に、被後見人の意思や生活に配慮することはもちろん、後見監督人が選任されている場合は、後見監督人の同意が必要です。
また、必要性がないにもかかわらず成年後見人が不動産を売却すると、身上配慮義務に違反する可能性があります。
そのため、非居住用物件の売却であっても家庭裁判所へ相談しながら行うのがおすすめです。
不動産売却の流れを把握してスムーズに手続きを進めよう
不動産売却する際は、まず全体のおおまかな流れを把握することからはじめましょう。
また、不動産売却には多くの費用や税金が発生します。
入ってくるお金と出ていくお金を事前にしっかりシミュレーションしておかなくてはなりません。
とくに住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、売却金額でローンを完済できるのか、追加で資金が必要なのかが重要です。
さらに、不動産売却には必要な書類も多数あります。書類が揃っていないと買い手が付かなかったり、スムーズに売却が進められなくなったりするおそれがあるため注意しましょう。
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