2022.12.15
不動産売却に必要な書類全13種を解説|入手方法やタイミングも紹介
不動産売却を検討する際、どのような書類が必要なのかわからずお悩みの方もいるのではないでしょうか。
不動産を売却するには、多くの書類を準備しなくてはなりません。
書類が揃わないと、スムーズに不動産売却を進められなくなるおそれもあります。
本記事では、不動産売却に必要な書類の一覧から、書類の取得方法まで詳しく解説します。
目次
不動産売却の際に必要な書類一覧
不動産の売却は大きなお金が動く重要な取引となるため、必要な書類は多岐に渡ります。
一つひとつ用途や取得方法を確認していきましょう。
本人確認書類
不動産売却を仲介する不動産会社へ、本人であることを証明するために、本人確認書類が必要です。
以下のようなものが、本人確認書類として利用できます。
- 運転免許証
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- パスポート
住民票
役場で住民票を取得しましょう。
売主の現住所が売却する不動産の登記上の住所と一致していれば、住民票は不要です。
もし住所が異なる場合は、3ヶ月以内に発行した住民票を用意します。
実印
市区町村で印鑑登録をした実印を用意してください。
実印は不動産売却時に作成する契約書などの捺印に必要です。
実印を持っていない場合は、事前に役場へ行って印鑑登録を行います。
印鑑証明書
住民票と同様に、発行から3ヶ月以内の印鑑証明書を準備します。
マイナンバーカードを取得していれば、コンビニなどでも印鑑証明書の発行が可能です。
そもそも印鑑登録を行っていない方は、役場で登録を行いましょう。
印鑑登録の際に使った印鑑は、先ほど解説した実印として利用できます。
登記済権利証(登記識別情報)
登記済権利証は、不動産売却で名義変更をするために必要な書類です。
登記済権利証に記載されている人物が、不動産の所有者であることを証明できます。
また、平成17年の不動産登記法改正後は、書面による登記済権利証ではなく登記識別情報といって、番号による管理も始まりました。
そのため、不動産売却の際は登記済権利証もしくは登記識別情報のいずれかがあれば問題ありません。登記済権利証は、不動産を取得した際に法務局から交付されるものです。
万が一登記済権利証や登記識別情報を紛失してしまった場合は、法務局へ問い合わせて再発行してもらいましょう。
手続きについて不明点があれば、不動産会社へ相談してください。
固定資産税納税通知書(固定資産税評価証明書)
固定資産税の納税額、評価額を記載しているのが固定資産税納税通知書です。
固定資産税納税通知書は、主に買主と売主で税負担割合を決める際などに利用します。
毎年送付されるものなので手元にあるはずですが、紛失した場合は役場へ固定資産税評価証明書の発行依頼が必要です。
建築確認済証
建築確認済証は、物件が建築基準法にもとづいて建築されたことを証明する書類です。
改正建築基準法の施行前は、建築確認通知書と言う呼び名でした。
建築確認済証は不動産売却に必須の書類ではありませんが、用意した方が買主に対する信頼性が高まります。
建築確認済証は不動産の購入時に取得しているケースが多くなりますが、もし手元にない場合の再発行はできません。
ただし、建築計画概要書や建築確認台帳記載事項証明書で、建築確認番号や検査済証番号を知ることは可能です。
建築計画概要書や建築確認台帳記載事項証明書は、役場で申請すれば取得できます。
地積測量図と境界確認書
土地の面積を示すのが地積測量図、正式な土地の境界を示すのが境界確認書です。
不動産の売却後、隣接する土地や道路との境目が不明確なことによる近隣トラブルを防止するため、地積測量図や境界確認書があると買主は安心できます。
そのため、なるべく準備しておくのがおすすめです。
なお、地積測量図や境界確認書は、土地の購入時に取得しているのが一般的です。
もし地積測量図を紛失した場合は、法務局で再取得できます。
境界確認書は、測量した会社へ問い合わせてみましょう。
測量した会社がわからない場合は、再度測量する必要があります。
測量には現況測量、境界測量、確定測量の3種類があり、一般的な居住用不動産の現況測量であれば10~20万円ほどで可能です。
しかし、土地を売却する際は買主から確定測量を求められるケースが多く、確定測量には40~80万円ほどかかります。
マンションの管理規約や管理組合総会議事録
売却するのが戸建てではなくマンションの場合、マンションの管理規約や管理組合総会の議事録なども提出しましょう。
マンションの管理規約は、買主が住むに当たってどのようなルールがあるのか、どういった管理がされているのかを知るための重要な書類です。
手元に管理規約などの書類がない場合は、マンションの管理会社へ依頼して手配してもらいましょう。
耐震診断報告書
新耐震基準が施行される以前、つまり1981年6月1日以前に建築されたマンションを売却する場合は、耐震診断報告書の提出を求められるケースがあります。
新耐震基準の施行後に建築されたマンションは、震度6強~7程度でも倒壊しない構造となっていますが、それ以前に建築されたマンションはこの基準が適用されていないためです。
耐震診断報告書は不動産売却時になくても問題ありませんが、買主に安心して購入してもらうためには、用意しておいた方がよいでしょう。
耐震診断報告書は、建築士や専門機関へ依頼して発行できます。
発行にかかる費用は5~8万円程度です。
アスベスト使用調査報告書
アスベスト使用調査報告書は、建物にアスベストが使われていないことを証明する書類です。
アスベスト使用調査報告書は不動産売却時に必須の書類ではありません。
しかし、アスベストが建材として使用されていると、人体に悪影響を及ぼす危険性があります。
そのため、アスベスト使用調査報告書があれば、買主へ安心材料としてアピールできます。
アスベスト使用調査報告書が必要な場合は、建築士や管理会社へ問い合わせてみましょう。
物件状況等報告書
物件状況等報告書は、物件や土地の修繕履歴などを示す書類です。
リフォームやシロアリ駆除などを実施した履歴が、記載されています。
もし売却する不動産になんらかの故障や欠陥がある場合は、物件状況等報告書に記載しなければなりません。
設備表
設備表は、引き渡し時点の物件の設備を記載したものです。
キッチンやトイレ、そのほか売却時に設置されている設備とその状況を記載します。
売却後のトラブル防止のためにも、最新の情報を正しく記載しておきましょう。
不動産売却時に必要な書類を用意するタイミング
不動産売却に必要な書類には、それぞれ用意するタイミングがあります。
不動産売却の流れに沿って、4つのタイミング別に必要な書類を見ていきましょう。
不動産会社へ査定依頼する際の書類
はじめに、不動産会社へ査定を依頼する際に必要な書類です。
- 物件を購入したときの重要事項説明書
- 登記済権利証・登記識別情報
- 物件の図面(間取り図)・設備の仕様書
- 土地測量図・境界確認書
- 固定資産税納税通知書
査定依頼は不動産売却の第一歩となるため、売却するかどうか迷っている方は、まずこれらの書類の準備からはじめてみましょう。
不動産会社と媒介契約を締結する際の書類
次に、仲介を依頼する不動産会社を決めて、媒介契約を締結する際に必要な書類です。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 印鑑(認印で可)
- 登記済権利証または登記識別情報通知書
- ローン償還表を求められる場合もあり
不動産会社と媒介契約を結んで、初めて買い手探しが始まります。
不動産の売却を決意している場合は、これらの書類も先に準備しておくとスムーズに契約できます。
不動産を引き渡す際の書類
買い手が見つかり売買契約を交わした後で不動産を引き渡す際には、以下の書類が必要です。
- 本人確認書類
- 実印・印鑑証明書
- 住民票
- 銀行口座の通帳(銀行振り込み先情報)
- ローン残高証明書、あるいは、ローン返済予定表
- マンションのパンフレットなど
不動産売却を検討してから引き渡しまでは時間がかかるため、真っ先に用意するべき書類ではありません。
引き渡しまでには必ず準備しておくようにしましょう。
不動産売却後の確定申告時に必要な書類
最後に、不動産売却を終えて確定申告する際に必要な書類です。
- 確定申告書B
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)
- 住民票(不動産売却時、登記名義人の現住所と登記上の住所が異なる場合)
- 売却物件の売却時の売買契約書(コピー)
- 売却物件の購入時の売買契約書(コピー)
- 仲介手数料、印紙税などの領収書(金額が分かる書類)
- 建築当時の請負契約書(注文住宅の場合)
- 特例の利用に必要な書類
不動産売却によって利益が出た場合、譲渡所得として課税対象になります。
この場合、確定申告をして所得税の納付が必要なため、仲介手数料などの領収書はまとめて管理するのがおすすめです。
不動産売却が行われたことは、登記変更の履歴から法務局や税務署も把握しています。
脱税と見なされた場合は、税額×20%の無申告加算税や延滞税のほか、悪質なケースでは重加算税も課せられるので、必ず確定申告をして納税しましょう。
不動産売却に関する必要書類や書き方を詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産売却で確定申告は必要?必要書類の書き方やいつ手続きするかを解説
一般的な不動産売却と異なるケースで必要な書類
不動産売却は、さまざまなシーンで行われます。
単に今住んでいる家を売るのではなく第三者が売却する、土地だけを売却するといったケースも少なくありません。
そこで、このような特殊な不動産売却時に必要な書類を紹介します。
成年後見人が不動産売却をする場合は裁判所の許可が必要
不動産の名義人が、成年後見制度を利用しているケースです。
成年後見人は、被後見人の預貯金や不動産などの財産を管理しているため、不動産売却を行う場面があります。
このとき、売却する不動産が居住用物件なのか、あるいは非居住物件なのかによって、必要な手続きが異なります。
売却するのが居住物件の場合は、成年後見人のみの判断で不動産を売却できません。
家庭裁判所へ居住用不動産処分の許可の申立てを行い、裁判所の許可を得る必要があります。
出典:居住用不動産処分の許可の申立て(裁判所)
一方、非居住用物件の売却については、家庭裁判所の許可は必要ありません。
成年後見人によって一般的な不動産売却と同様の流れで手続きできます。
ただし、後見監督人が選任されている場合は、後見監督人の同意が必要です。
成年後見人が居住用物件・非居住用物件どちらを売却する際も注意しなければならないのは、売却の必要性や売却の相当性の検討という点にあります。
また、売却して得たお金がきちんと被後見人のために使われるのか、居住用物件の場合は売却後の被後見人の生活などにも、配慮が必要です。
そのため、非居住用物件の売却であっても判断に迷う場合は、家庭裁判所へ相談してみましょう。
相続した不動産の売却は事前に相続登記が必要
故人などから不動産を相続した場合、使い道がないためすぐに売却を検討するケースがあります。
売却すること自体は問題ありませんが、売却する前にまず相続登記が必要です。
相続登記とは、不動産を相続する際の名義変更の手続きのことで、もともとの持ち主から自分へ不動産の名義を変更しなければなりません。
相続登記をせず前の持ち主の名義のままでは、自分で不動産を売却できないからです。
不動産の相続登記は、法務局で行います。
また、買主への引き渡しまでに所有権移転登記ができればよいので、相続登記が完了していなくても不動産の売却手続きを進めることはできます。
土地のみを売却する場合に必要な書類
家屋などがない土地のみの売却に必要な書類は以下になります。
- 実測図
- 筆界確認書
- 越境の覚書
- 権利証または登記識別情報通知書
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 住民票
- 本人確認書類
- 抵当権が設定されている場合は抹消に必要な書類
建築確認済証やマンションの管理規約、耐震診断報告書など建物に関する書類は不要となりますが、それ以外は不動産物件を売却する場合とほぼ同じ書類が必要です。
不動産売却で代理人を立てようとしてる方は、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。
不動産の個人売買時も同様の書類の準備が必要
不動産の売買は不動産会社を仲介して行われるのが一般的ですが、個人売買も違法ではないため、不動産会社を通さずに行えます。
個人売買の際は、仲介業務を行う訳ではありませんので、宅地建物取引士の資格や宅地建物取引業の免許も不要です。
ただし、不動産の個人売買時も売買契約書など、不動産会社を通す場合と同じ書類を用意しなければなりません。
不動産の個人売買は、不動産会社へ支払う仲介手数料がいらない、売却価格や条件を自分で決められるなど、自由度の高さがメリットです。
その反面、買い手を自分で見つけなければならない、トラブルが発生した際の対応、書類作成などの手間といったデメリットも多くあります。
そのため、基本的には不動産の個人売買はせず、専門知識を持った不動産会社の仲介を利用するのがおすすめです。
不動産売却の必要書類は事前に用意しておこう
不動産売却に必要な書類は多数ありますので、売却を検討する際はまず書類について把握しましょう。自分で保管してあるもの以外にも、役場で取得しなければならない書類がいくつかあります。
また、紛失してしまった書類などは、再発行の手続きも必要です。
売却する不動産の種類や状況によっては、別途必要な書類や手続きもあるので、不明点があれば不動産会社へ相談してみましょう。
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